運命の日

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裸になったサイコファイターはカプセルに入るとヘルメットを装着する。 「スタンバイモード解除、イオン粒子充填」 カプセル内にイオンが満たされると、肌は刺されるようなチクチクとした刺激を感じる。 「シナプス接続」 頭に電気が流れると殴られたような衝撃がある。 眼を閉じると自分の身体は消えて、ナイトメア全体が自分の身体のように感じた。 視線……、とはいっても実際の視線ではないが、それを遠くに向けるとミユキには日本海に浮かぶ船の数々が見て取れた。 「前方10キロに護衛艦ちょうかい、その北1キロの海中300メートルになだしお型潜水艦。ロシア原潜がちょうかいの西5キロで無音潜航。ほぼ海底です……」 ミユキがいつものように視界を説明すると指揮所の幹部は満足そうにうなずいた。 「上空はどうか?」亜佐美がきく。 ミユキは頭の中のイメージを上空に向けた。 うねる波があり、その上には何もなかった。 「ア……、8時の方向5キロを対潜哨戒機A-5、所属は……、日の丸です。自衛隊機」 「おぉ、彼等は、目標物の国旗や紋章まで見えるのか」 「彼女は特別です」 ウイリアムの驚きを亜佐美が正す。 「自分が感じるのは、ぼんやりとした飛行機の影だけであります」 戎が報告すると、亜佐美は苦笑いを浮かべた。
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