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神戸ミユキ少尉の脳内にはイメージがある。マッコウクジラが悠々と泳ぐ姿だ。
「もう少し右。……そうそう、真直ぐ。……もうすぐ出会うわよ」
人一人がやっとはいれる半透明のデバイス・カプセル。中は肌をヒリヒリと刺激する塩の香りで満ちていた。ケーブルの延びたフルフェイス・ヘルメットだけを装着し、眼や耳はヘルメットに塞がれている。全裸だった。
ミユキは感覚と思念を武器とするサイコファイターで、思念で追いかけるものはクジラなどではなく、領海を侵す潜水艦だ。
その日も太平洋を我が物顔で侵食する某国の攻撃型潜水艦が、ハワイ島の米国領海に入り込んでいだ。
ミユキの脳内のイメージは、マッコウクジラから全長120メートルほどある人工物に変わり、どんどんミユキに接近する。いや、ミユキがそれに向かって進んでいた。
「当たれ」ミユキはつぶやく。
刹那、巨大な潜水艦に巨大な穴が開いたのを感じる。
「やった……」
ミユキが思念で誘導した魚雷が潜水艦に命中したのだ。
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