運命の日

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カプセル内のミユキは、ほぼ身体を横たえた状態で空を見ていた。目標が上空だと限定されていたから、水中に意識を向けて精神が疲弊するのを回避したのだ。 意識を配る範囲を限定したため、意識は遠くにまで届いた。小松基地の沖合10キロ上空で訓練を見守るヘリが見え、その近くが着弾地点だろうと考える余裕もあった。 「えっ?」 ミユキが思わず声を発したのは、感覚をひどく刺激する4つの存在に気づいたからだ。3つは模擬ミサイルだと分かる。もう一つ、やたらと温かい刺激がある。何だ? 意識を集中すると、200キロほど離れた丘の上に中年男の存在を感じた。『偽りの記憶』の著者である千坂亮治だった。その男がまるで主人公の高校生のような眼で、こちらを見ているのだ。 これは……、ミユキは自分の身体を包むような熱量を恋だと思った。
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