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「タスケテ」
ミユキに流れ込むナイトメアの乗員の感情は、ミユキを嬲り押しつぶすようだった。
幼いころに殴られた父親の顔が、熱湯をかけた母親の歪んだ表情が脳裏を赤く染め、汚物を投げつけた同級生の嘲りが黒く飛び散った。
「タスケテ」
何も知らない千坂が、遠くからミユキを温かく見つめている。そこに行けば救われると感じた。
「タスケテ」
恐怖と困惑と怒り、記憶とミサイル、……ミユキは自分のもつすべてを引き摺るようにして千坂に向かった。
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