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東と南に向かっていたフラッシュⅡは自爆処理され、核分裂は阻止された。
ところが、小松基地沖に向かったフラッシュⅡは、自爆信号を拒否するように受け付けなかった。それどころか、コースを大きくそれて福井県の原子力発電所上空でSM-10と激突して核爆発を起こした。
その日、原子力発電所の南の丘で桜を眺めていた千坂や、多くの無垢の住人が爆発に巻き込まれた。
フラッシュⅡの爆発で多数の原子炉が制御不能となった。冷却装置が壊れたからだけではない。装置を動かす職員は全て死亡したし、事故処理作業に向かえる人間もいなかったからだ。道路は寸断され、道は死体と死傷者であふれていた。
大半の生命は死に絶え、送電線から切り離された機械は沈黙した。ただ、熱風によって発生した火災とメルトダウンした核燃料だけが暴走していた。
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