ミユキ

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ミユキは1歳になる前から両親の虐待を受け、その行動や感情に敏感になった。成長するにつれて全ての他者の気配に過敏になり、壁越しの存在さえ察知することができた。逆に心を封じる術も覚えた。 小学校5年の夏、暴力をふるう父親から逃げ出してマンションの階段から転落。大怪我を負って保護され、それからは施設で育った。 中学に入る年、国家機関のPSA研究所から人がやってきて、寄宿制の学校に入れられた。 寄宿舎には似たような境遇の生徒が20人ほどいて、中学、高校と、勉学と同時にPSA(サイ)を鍛える訓練を受けた。 高校を卒業すると同時に、半強制的に自衛隊員にされたが、やることはPSA訓練ばかりだった。 両親の家はもとより、児童保護施設もPSA研究所も、自衛隊も、望まない場所だった。
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