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部屋に、ぽつんとマリイ一人。
「ふっ……」
おかしくもないのに、笑いがこみ上げてきた。いや、自分が滑稽でおかしい。
婚約の話が持ち上がったのは二週間前。
自分の花嫁姿を想像して喜んだのは、つかの間だった。
次々と耳に入ってくる王子の評判が悪すぎて、なんとかこの結婚から逃れられないか、そればかりを考えて今日に至る。
「まさか、あたしの方が逃げられるなんて」
これからは、婚約者に逃げられた姫として生きていくのだろうか?
ああ、もう消えてなくなりたい……。
マリイは倒れるようにベッドに横になった。
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