一  姫様、お逃げください!

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部屋に、ぽつんとマリイ一人。 「ふっ……」 おかしくもないのに、笑いがこみ上げてきた。いや、自分が滑稽でおかしい。 婚約の話が持ち上がったのは二週間前。 自分の花嫁姿を想像して喜んだのは、つかの間だった。 次々と耳に入ってくる王子の評判が悪すぎて、なんとかこの結婚から逃れられないか、そればかりを考えて今日に至る。 「まさか、あたしの方が逃げられるなんて」 これからは、婚約者に逃げられた姫として生きていくのだろうか? ああ、もう消えてなくなりたい……。 マリイは倒れるようにベッドに横になった。
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