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この前、ゾフィにもらった物語みたいに、すてきな殿方に会って恋したい。
政略結婚なんて、嫌だ……!」
「姫様……」
ゾフィはいったん、化粧を諦めた。
マリイにもう一枚のハンカチを渡して、再び鏡台のイスに座らせる。
「わたくしも、姫様を乱暴者の妻になどしたくありません。
でも、サンリク王ダンギ陛下の決定は絶対なのです」
「父様は……、あたしのことなどちっとも考えてくださらない。
先日、お会いするのは久しぶりだったのに、まさか開口一番、結婚の命令がくだるなんて!
しかも、お相手がリヨク王子だなんて……!
嫌! 絶対、嫌!」
マリイはヒックヒックと、本格的に泣き出した。
「姫様……。
リヨク王子については、隣国、カイソクでも持て余していると聞きます。
第一王子であるにも関わらず王位継承権を剥奪され、婿に出されるくらいですから……」
「ゾフィ~」
「国王陛下は、リヨク王子を婿にすることでカイソクに恩を売りたいのでしょうね」
「あたしを使って恩を売るなんて、ひどすぎる。
父様があたしをお嫌いなことは分かってたけど、これはあんまりだわ……!」
「それでも王が決めたことなのですから、仕方ありません。
今日は諦めてパーティーに出席して下さい。
結婚は姫様が十六歳になる、まだ先のことでしょう?
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