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マリイはゾフィに問う。何が起こっているのだろう?
「ゾフィ、何があったの?」
「姫様……」
部屋の入り口に突っ立ったまま、ゾフィは可哀想な者を見る目でマリイを見ている。
「こっちに来て、説明して!」
「……」
ゾフィは諦めたかのようにやってきて、申し訳なさそうに話し出した。
「リヨク王子が……逃げ出したそうです」
「王子が、逃げた……?」
あたしとの婚約を、嫌がって?
「あの……、面倒くさいとか、結婚して欲しくば、サンリク側がこっちに来いとか言って暴れたそうで……」
「暴れた?」
それに、「結婚して欲しくば」とは、どういうことか?
逃げ出したいのはマリイの方だというのに。
「それでダンギ陛下が面目をつぶされたとお怒りで……。
兵士を派遣して王子を捕らえ、マリイ様と結婚させて、二度と逃げられないよう城に閉じ込める、と……」
「捕らえて結婚? しかも、逃げられないように閉じ込めるって……!」
それが、先ほど父が言っていた意味なのか!
なんということだろう。
もうどんなに着飾っても耐えられそうにない。
一年半の猶予があると思っていたものが、王子が捕まり次第、結婚させられてしまう。
しかも、婚約のためのパーティーすら面倒くさがって逃げるような男を、幽閉してまで!!
「…………ねえ、」
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