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二 ラオの家
「ここが、ラオ爺さんの家……」
マリイは、肩で息をしながらその家、というよりちょっと大きめの小屋のようなその建物を見上げた。
町から更に歩いて三十分。
馬車での移動に慣れているマリイは、さすがに疲れていた。
姫様、町に着いたのですね。お疲れ様です。
でも、ここで立ち止まってはなりません。町にはすぐに城の追っ手がかかるでしょう。
そのまま街を抜け、東へ東へお進みください。
(東は太陽の昇る方角です。日の出に向かって歩き続けてください。)
道沿いに、ラオという老夫婦の家があります。しばらくの間、ラオ爺とラオ婆のお世話になってください。
彼らはわたくしの古い知り合いで、姫様に良くしてくれると思います。
ラオ爺宛に、もう一通、手紙が入っています。
姫様のことは、仕事を探しに来たわたくしの姪ということで紹介します。
どうぞ、うまく取り繕って、逃げおおせてください。
ゾフィより
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