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四 マリイ
「絶品! しっとりフワフワ! こっちはサクサク!」
マリイはご機嫌で舌鼓を打った。
ホダン商店のケーキとクッキーは最高だ。
「生クリームもフルーツも付いてないけど、しっとりしてておいしい!
クッキーもシンプルで、いくらだって食べられるわ!」
結果的に、グリーンは金貨でカップケーキとクッキーを買ってくれたことになる。
更に嬉しいことに、馬車の中にはキャンディーやチョコの箱もあり、マリイは今や、お金持ちならぬ『お菓子持ち』になっていた。
「それにしても、おまけで馬車と店が付いてきたのには驚いたわ!」
「逆だ、逆。買った店にお菓子があったんだ」
馬を川につれて行き、自分も休憩に戻ってきたグリーンは、「はー、疲れた」と、マリイの隣に腰を下ろす。
「おい……」
尻に敷いている絨毯を見て、彼は言う。
「この絨毯……」
「素敵でしょ。ピクニックにちょうどいいのがあったから、広げてみたわ」
「ふざけるな!」
マリイは吹っ飛びそうになる勢いで怒鳴られた。
「織り模様のある絨毯なんて、どう見ても売り物だろっ!
なんで、数ある絨毯の中から一番高いのを使うんだよ!」
「だって、使うならきれいな方がいいじゃない。
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