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惨めにも車に轢かれた野良猫みたいに
僕はその場にくしゃりと落下していた。
その間にすっかり身なりを整えた征司は
無言のまま踵を返し。
「待てよ!待てったら……!」
あちこち花を巻くように
僕の服を放り投げながら
優雅に温室を出て行った。
「ああ……クソ……」
と――。
取り残された僕のところに現れたのはあの蛇だ。
懲りもせず誘惑するように
チロチロ赤い舌を伸ばしたりするもんだから。
「何だよ!あっち行けよ!」
蛇相手に僕は本気で声を張り上げて。
「クソ、覚えてろよ……悪魔!」
誓うんだ。
必ずもう一度九条さんを僕の物にして
王様に一泡吹かせてやると――。
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