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「さて、一仕事終わった」
私は倒れている女をどかせる。打った睡眠薬が相当効いているらしい、乱暴に動かしてもビクともしない。
「坊ちゃま、ご無事で」
「いつも通りに仕事をこなしただけだ。あとの処理は頼んだぞ、じいや」
じいやと呼ばれた白髪の男性はかしこまりましたと一礼をする。
「それにしても、今日の桜は一段と綺麗でございますね。坊ちゃま」
「そうだな」
きっとそんな綺麗な桜にこの女は魅せられてしまったのだろう。
そう嘲笑いながら、私は夜桜を眺めていた。
『濃く色づく桜に“狂”を一杯』
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