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涙のひとつでもこぼせば、僕だってもう少し優しくなれるかもしれないのに、彼女が落ちた僕のポッキーとアリたちを踏んで行くから、僕だっていじわるになる。
「本当に僕の……なの?」
「倉田君。身に覚え、あるよね」
夏休みに入った翌週、陸上部の練習の帰り、れいなと一緒になった。
彼女は僕の親友の圭太と付き合っていていたのだが、終業式に別れたばかりだった。
慶太の方に他に好きな子が出来たこと、すでにもう付き合い始めていること。
全部、圭太から聞いていた。
電車通学のれいなに合わせて、駅までの道、くそ暑い中自転車を引いて歩くことに少々嫌悪感はあったものの、僕は彼女に同情もしていて、先に裏切ったのは圭太の方でもあったし、彼女を無下にも出来なかった。
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