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宗一は首を傾げつつ小田急の東北沢駅
寄りの中学校までとドライバーに答えた。
「じゃあね。」
早生子は宗一に向かって小さく手を
振って車から離れた。彼を乗せた
タクシーが黄昏の街の中へ消えていった。
その夜も宗一は電話して来た。
「どうしたの。」
「別に用はないんだけど、酔いが
醒めちゃってさ。」
「暇つぶし?」
「そんなことないよ。ちょっと声が
聞きたくなっただけ。」
「相手が違うでしょ。」
「たまには違う女の声も聞きたいんだ。」
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