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「冷たいようで申し訳ない。でも彼も婚約したばかりで、大事な時期だから」
プライベートの事情を職場に持ち込むのは控えてってことか。
「先程の挨拶で申しそびれましたが、彼と春に結婚致します。今後は公私の区別をつけ、皆様を煩わせないよう気を付けますので、どうぞよろしくお願い致しします」
そう言って深々と頭を下げると、部長らしき人はなぜか頭を抱えてぼやいた。
「不始末なのか、変なのにつかまったのか」
「不始末……変なの……?」
「失礼。とにかく僕は彼が掴んだ幸せは守ってあげたいんだよ。戸川君は大事な部下だから」
「ありがとうございます」
笑顔で礼を述べると、部長さんらしき人はやれやれと天を仰いだ。
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