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ここからは戸川目線でどうぞ…
***
外出先から戻ると、なぜかスタッフが俺の顔を見ると大慌ての様子でわらわらと集まってきた。
日本から来た強奪女らしきのが応接室で陣取っていると。
部長が必死で応戦していると。
まさか…また渡辺襲来か?
よりにもよって、紗衣が来てる時に。
野性の勘なのか、すごいタイミングで来る奴だ。
この機会にケジメつけないとダメだとか、いや会わない方がいいとか、口々に言うスタッフを振り切って、応接室に急ぐ。
ノックも忘れて飛び込むと、中には部長と困った顔の紗衣。
渡辺じゃなかった……。
ところが安堵のあまり、
ついポロリと失言が漏れた。
「良かった…紗衣だったか」
紗衣の顔がピキッと引きつって「しまった」と思ったのと同時に、部長が焦って叫んだ。
「ああ戸川君!僕がどうにか撃退しようと思ったけど力及ばずで」
「及川部長。こちら、この度婚約した彼女です」
「……はぁ?」
部長は紗衣と俺の顔を交互に見ながらあんぐりと口を開けた。
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