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「僕と先に約束してたら、彼を断った?」
「いいえ」
一歩、また一歩と近づく僕に、彼女は目を見開き立ちすくんでいる。
それでも彼女は一切のごまかしをせず、はっきりと答える。
そんな君が好きで、だから辛い。
「ひどいな。どっちにしろ、僕は断られる運命だったんだね」
「ごめんなさい。でも嬉しかったです。こんな私でも受け入れてくれようとして下さったから」
もう彼女は目の前。
すぐ前で足を止めた僕を彼女が見上げた。
「心をくれないなら、せめて最後に僕にくれる?」
「え……何を……」
僕が惹かれた、優しく純粋な目。
その目に浮かぶ怯えたような揺らめきが、男の僕に火を点ける。
意識したのは初めてだよね?
力づくでも君を奪える男だって。
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