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「本当最っ悪なんだけどー!彼氏に浮気された!」
「え?ふざけてんな、あいつ。」
「ないわー。てか、どうせブスと付き合ってるんでしょ?宙と別れたの絶対、後悔するって。」
「莉央、いいすぎ。」
私は今日、晴れてフリーになりました、高校3年になったばかり、志村 宙(そら)。一緒に元カレに対する文句を言ってくれてるのが、同じクラスの佐藤 莉央(りお)と、戸塚 まり。
「まぁいっかー。別にそこまで好きじゃなかったし。」
「宙、いつもそうだよね。大体相手から告白されて、なんとなく付き合ってるだけじゃん。」
「好きになろうとはするんだけどねー。」
「それが間違いでしょ。」
そう、いつも私はこのパターン。好きになれそうかなれなそうかで、告白の返事は決める。かといって、好きになれそうと思うだけで、実際は、なれない。好きになろうとすればするほど、好きから離れて行く気がする。
「ねぇ!今日、帰りになんか食べていかない?」
「いいよー。私、金ないから、言い出した莉央の奢りで。」
「え!なんでよ!無理。じゃんけん!じゃんけんで決めよ!」
「やだよ、じゃんけんとか子どもか。」
こんな2人の会話を聞いてると別に友達がいれば、彼氏なんていらないんじゃないか、とも思えてくる。「宙も行くでしょ?」
「うん、いくよ!」
こうして私たちは駅前まで来た。
「なに食べよっかー?」
「うーん、あ!お寿司とかは?いった!」
突然肩に衝撃がきた。見ると、メガネにセットしてない髪、着崩しの全くない、第1ボタンまで閉めた制服をきた男、一言で言うと、ダサい男がボソボソと謝っていた。
「っすみません!急いでて、本当にすみません。」
「あぁ、大丈夫ですよ。肩がぶつかったくらいなので。」
「あ、はい。すみませんでした。」
と言い、ダサい男は走っていった。
「今の人さぁ、なんかすごくもったいないわ。」
「え、どういうこと?まり。」
「だって背は高いし、多分180近くあるでしょ。あれ。顔だってよく見たら割と整ってるのに、あんな格好とか、性格ってすごいもったいないなぁって。」
「まず、あの短時間にそこまで考えるまりが、すごいんだけど。」
「確かに。まぁ、もう会わないだろうし。さっき途中になっちゃったけど、お寿司食べに行こう!」
「いいね!行こう!」
この時は本当にそう思っていた。まさかまた、あのダサい男に会うことになるとは。
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