第1章・ダサい男

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「本当最っ悪なんだけどー!彼氏に浮気された!」 「え?ふざけてんな、あいつ。」 「ないわー。てか、どうせブスと付き合ってるんでしょ?宙と別れたの絶対、後悔するって。」 「莉央、いいすぎ。」 私は今日、晴れてフリーになりました、高校3年になったばかり、志村 宙(そら)。一緒に元カレに対する文句を言ってくれてるのが、同じクラスの佐藤 莉央(りお)と、戸塚 まり。 「まぁいっかー。別にそこまで好きじゃなかったし。」 「宙、いつもそうだよね。大体相手から告白されて、なんとなく付き合ってるだけじゃん。」 「好きになろうとはするんだけどねー。」 「それが間違いでしょ。」 そう、いつも私はこのパターン。好きになれそうかなれなそうかで、告白の返事は決める。かといって、好きになれそうと思うだけで、実際は、なれない。好きになろうとすればするほど、好きから離れて行く気がする。 「ねぇ!今日、帰りになんか食べていかない?」 「いいよー。私、金ないから、言い出した莉央の奢りで。」 「え!なんでよ!無理。じゃんけん!じゃんけんで決めよ!」 「やだよ、じゃんけんとか子どもか。」 こんな2人の会話を聞いてると別に友達がいれば、彼氏なんていらないんじゃないか、とも思えてくる。「宙も行くでしょ?」 「うん、いくよ!」 こうして私たちは駅前まで来た。 「なに食べよっかー?」 「うーん、あ!お寿司とかは?いった!」 突然肩に衝撃がきた。見ると、メガネにセットしてない髪、着崩しの全くない、第1ボタンまで閉めた制服をきた男、一言で言うと、ダサい男がボソボソと謝っていた。 「っすみません!急いでて、本当にすみません。」 「あぁ、大丈夫ですよ。肩がぶつかったくらいなので。」 「あ、はい。すみませんでした。」 と言い、ダサい男は走っていった。 「今の人さぁ、なんかすごくもったいないわ。」 「え、どういうこと?まり。」 「だって背は高いし、多分180近くあるでしょ。あれ。顔だってよく見たら割と整ってるのに、あんな格好とか、性格ってすごいもったいないなぁって。」 「まず、あの短時間にそこまで考えるまりが、すごいんだけど。」 「確かに。まぁ、もう会わないだろうし。さっき途中になっちゃったけど、お寿司食べに行こう!」 「いいね!行こう!」 この時は本当にそう思っていた。まさかまた、あのダサい男に会うことになるとは。
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