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中にはプラスチックの小袋に包装された細長いチューブやら、大きめのガーゼが入っていて首を傾げる。
どうしてこんなものが俺の病室にあるのだろうか。こういうものは物置にでも置いておくものなのではないか。
もう一度立ち上がって壁に指を添わすと、運良く指先にコンクリートとは違う感触があることに気が付いた。
壁よりもつるつるとしていて丸いでっぱりのある、所謂回して電気の明るさを調整するタイプのスイッチである。
俺はそれを回しゆっくりと明るくなっていく部屋の中を眺めた。
暗い所に慣れ切ってしまった目には明るくなった部屋はやけに眩しく見えたが、そこには閑散とした部屋がはっきり見える。
明るくした事で部屋の中に乱雑に置かれた段ボールやら、治療に使うのであろう機械が電源も入れられずにおいてあることに気が付く 。
一見すると、本当に物置の様にしか見えない。
もしかすると、ここは俺の病室ではないのだろうか。
では、なぜこんなところに俺は居るのだろうか。
頭が混乱しそうになるのを何とか抑えていると、ふと自分が立っている後ろに冷たそうな鉄製の扉がある事に気が付いた。
多少白色の塗装が剥げて鉄さびの様な色を覗かせるその扉の取っ手に、反射的に手をかけてそれを押し開く。
この部屋を出ればきっと誰かしらスタッフが居るに違いない。
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