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「もしかして、名付けた人って……」
「親父だ」
「やっぱり!」
ウサミミは興奮した。
(お父さんが、鉄ヲタなんだわ!)
曳野家の名付けの秘密に、ついに切り込んだ!
鉄って本名なのかと今まで不思議だったが、お父さんが鉄道好きなら納得だ。
(しかも、名前がセンロって……。兄は鉄で……。ププ……)
ウサミミは、口元を手で押さえて笑いをこらえた。
しかし、千路はそれを見逃さず、冷たい視線をウサミミに浴びせてきた。
「この名前を笑いたいんだろ?」
「い、いえ……」
「笑えばいいさ。昔から、皆同じ反応で、少々うんざりしている」
千路は、本気でウンザリしているようだ。
「すみません……」
ウサミミは素直に謝った。
「兄とセットで名乗ると、必ず笑われて嫌な思いをしてきた。嫌な名前だ」
「嫌なんて考えたら、もったいないです。千路さんは素敵な名前です。それに、お兄さんは自分の名前をいつも堂々と名乗っていますよ」
多分、曳野鉄は自分の名前に対して嫌な感情はなく、むしろ、大好きだろう。
「それはサンキュー。今はもう大丈夫さ。さすがに慣れた。兄は変わっているんだ。自分の兄だけど、小さい時からそう思っている」
千路は、電車シートソファにドカッと荒々しく座った。
見た目から動作まで、一つ一つが兄の鉄とは正反対だ。
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