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「それで、君は兄の恋人ってことでいいのかな?」
「え? いえ! 違います!」
突如、人の心に入り込み、中をあばこうとする千路の質問。
不意打ちを受けたウサミミがアワアワと焦ったので、千路は吹きだした。
「そうかあ。兄もとんでもないなあ。こんな若い子に手を出して」
「そんなんじゃないです! 所長は、とっても、とっても、真面目なんですから!」
真っ赤な顔で関係を否定すればするほど、千路は疑いを確信に変えていく。
そこに、曳野がガタガタと音を立てて帰ってきた。
「お帰りなさい!」
(いつもの鉄ヲタメガネが帰ってきたー!)
喜んだウサミミは、飛びかからんばかりに駆け寄った。
それを千路は見つめている。
曳野は事務所に弟の千路がいることに驚きすぎて、ウサミミの事など全く目に入っていない。
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