一両目 心の旅路

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「僕が、『いじっていないか』と聞いたときに、ウソを吐けない君は否定をせず、さらにプルマン・カーを一瞬見たんだ。それで、千路はこれを触ったんだなと判断した」 「本当に!? 自分では気づきませんでした!」 「君は正直で、すべて顔に出るからね」  曳野は笑顔で言ったから、怒ってはいないようだ。 「あいつは、まるでつむじ風のように騒がしいんだ。昔から……」  曳野はなにかを懐かしむように言った。 「つむじ風ですか……。確かにそんな気がします」  千路は、いれば何かしら騒いで物事を動かすタイプなのだろう。  その時、外で激しいサイレンが聴こえた。 “ウーウー” “パポパポ……”  それは、何台もの緊急車両が猛スピードで通り過ぎる音だ。 「どこかで、何かあったんでしょうか?」  そのサイレンはあまり遠くない場所で止まった。近所のようだ。  ウサミミは、急に不安になった。 (胸騒ぎがする……) 「所長……、近くないですか?」 「様子を見てこようか」  二人で外に出た。
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