五両目 国鉄ランデブー

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 その様子を、ミチルを探していたウサミミが反対方向から見ていた。 「ミチル……。振られているのに……」 「どうやら、また一人、千路のつむじ風に巻き込まれたようだな」  いつの間にか、曳野が来ていた。 「所長……。そのたとえ、気に入っているんですね」 「あいつは女を振った後、なぜか申し訳なく思うようで、誤解されることをしてしまうんだ」 「それで、女の方は、振られたことに気づかないってわけですか……」  これからミチルは、千路に向かって必死にアピールするだろう。  たくさんいるライバルたちに、傷つけられないだろうか。 『とっくに振られているんだから、あきらめなよ』と、諭して通じるだろうか。  ウサミミは、ひそかに心配した。  五両目 終わり
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