一両目 心の旅路

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 記念すべき登校初日。つまり、入学式。  講堂に参集した同級生たちを見ると、制服と私服が半々。  生徒の年齢層は普通の学校より幅があり、見た目二十歳以上は私服を選んだように思える。  校長や主賓のスピーチを聞く式典のあとは、学校の仕組みや授業の取り方のオリエンテーションを受ける。  全てが終了すると、お昼を少し過ぎた時刻だった。  明るい陽射しの中、学校を出たウサミミは、曳野に高校の制服を見てもらおうとそのまま探偵事務所に行った。 「ウッフフ。私のこの魅力的な姿を見て、所長はどう思うかな?」  ウサミミは制服が嬉しくて、事務所の玄関前でクルリと一回転。  リボンタイとスカートのプリーツが、ヒラリと揺れた。  ウサミミはスマホでピースサインを作りながら自撮りした。 「イエーイ!」 “カシャ”  満足したウサミミは、ドアを開けようとノブを触ったが、鍵がかかっていた。 「あれ? 留守?」  いぶかしがりながら、合鍵で中に入る。
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