前夜・主催者の場合

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「僕をその名前で呼ぶな。君との中だから無警告ではやらないけどね。そうでなければ殺すところだよ」  暗い部屋でも着けたままだったサングラスをを外すと、人の物とは思えないほど純粋な銀色の瞳で妲己を睨む。 「いやん。わらわにそんな殺気を向けられるのって、今はもうフェイスレスちゃんくらいねん」   妲己が空気を茶化すと、部屋を軋ませていた殺気が霧散する。ため息をつきフェイスレスはサングラスを掛けなおし、咳払いをする。 「ま、君との仲だしいいけどね。それで、君が招待状を送ったのはだれだい?」  この子達よ、と言いながら空中からスクロールを取り出し渡す。 「一人は魔女の聖女。一人は捨てられた覚醒者。一人は世を憎む元代行者。一人は人型魔道兵器。一人は現代の魔人」  それぞれのプロフィールを一瞥し、フェイスレスがほくそ笑む。 「そこに僕の駒が入ると。もう一人は?」 「一人くらい、わらわ達の知らない相手が居た方が面白くないかしらん?」 「ああ、イレギュラーが有った方がゲームは楽しめる。勝つことが約束されているとはいえ、スリルがないと人生が腐るからね」  魔法陣の中心に置かれた箱を眺め、フェイスレスの目から涙が零れた。 「100年来の僕らの夢が、漸く叶う」  その様子を見ると、妲己の顔が母のような慈愛に満ちたものに変わる。     
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