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色々あって三年後。私はあの宿で働いている。子がいない若旦那と若女将にえらく気に入られた瑞旗は、次期若旦那の有望株だ。
そんな彼に、露天風呂に呼び出された私。従業員はなんだか視線を交し合って変な感じ。
「あああのさあ」
テキパキ仕事をこなして古参からの評価も高い彼が、やたら言いにくそうにどもっている。
「どうしたの?」
「あのさ、俺と付き合ってくれないかな……!」
私と彼の顔から、ゴジラのごとく炎が噴き出た。
「ええええどうしたの」
「だだだめかな」
「いいいいいいよ、っていうかむしろウェルカムだよおっ」
ぱあん、とクラッカーの割れる音がした。
「未来の若女将誕生、おめでとうございます!」
従業員たちが、なぜが下手な仮装して、そこにいた。
「んごぉ」
私は諸事情により、小野篁と結婚することに相成りました。お付き合いの許可しかだしてないのに若女将ってもう!
怒鳴ろうと思ったのに、件の小野篁が顔を赤らめて俯いていたら怒れない。くっそ、ルール違反だぞこの野郎……!
「ありがとう、私に生きる場所を与えてくれて」
言う言葉が見つからなくて、仕方なく私は彼に礼を言った。
(了)
※ここにでてくる伝承は私の創作です
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