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「星だー……」
いつも綺麗で大人な梨香子先輩。
彼氏は年上のできる男ばかり。
なんだか梨香子先輩が手の届かない星みたいに思えた。
“だってあんた、相原だし!”
重鎮様にいじられてばかりだと嘆く俺に、梨香子先輩はいつも笑ってそう言う。
今まで無理なものには高望みをしないでのらくらやってきたのに。
だけど、今回はそれが効かなかったかもしんない。
「イテテ、首が……」
小学生の頃に習った冬の星座をしばらく探すうち、首が痛くなってきた。
星を見るのは諦めて、鼻をすすりながら先輩のチョコを取り出した。
みんな一緒の紙袋じゃなく、大切にしまい込んだ鞄から。
社食の売店だろうと、
義理だろうと、
一番大切なチョコ。
ね、梨香子先輩。
先輩は笑うかな。
もったいなくて食べられないよ。
義理チョコって分かってるのに。
相原君のアンハッピー・バレンタイン・終
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