相原君のアンハッピー・バレンタイン

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今日はバレンタイン。 戸川っちがいなくなった海事は盛り下がり気味だけど、社食に来るとやっぱり普段より女の子達がフワフワ浮き立ってるのが分かる。 先に食べ終わった欧州部の先輩に置いていかれて(相原君は喋るのとウォッチングに忙しくて食べるのが遅い)、一人でモソモソ食べながら頭の中で今年は幾つチョコを恵んでもらえるかカウントしていたら、成瀬ちゃんが通りかかった。 先週は戸川っちに会いにロンドンに遊びに行ってたらしい。 「あ、相原君」 「成瀬ちゃん帰って来たんだー。おかえりー」 「ただいま」 「ロンドン楽しかった?」 「う……うん」 恥ずかしそうに控えめに答える成瀬ちゃんの隣には、片桐王子がいる。 あ、ロンドンの話は気まずかったか……と焦ったけど。 「先に行っとくね。ごゆっくり」 さすが王子だ。 成瀬ちゃんに優しく微笑みかけると、相原君にもにっこり会釈して去っていく。 「あ、はい。後から行きます」 年末の魔のトライアングル(?)を経ても、成瀬ちゃんと変わらない関係を保ってるその態度、やっぱり立派だ。
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