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「先週はごめんね。変な電話かけちゃって」
「マグのこと?戸川っちと仲直りしてあげた?」
「うん。あれ私専用のにしたから。大事に使うね」
「戸川っちはこんなのやめろって嫌な顔したでしょ」
「うん。よく分かるね」
幸せそうに笑う成瀬ちゃんを見てると、相原君も年々減っていく寂しいチョコの数のことなんか忘れて嬉しくなる。
「そうだ。相原君にお土産があるの。ここに持ってきてないから後で海事に渡しに行っていい?職場はまずいかな」
「大丈夫だよ。お昼休みならみんな自由にしてるし」
「ほんと?じゃあ後でね。ふふ、片桐さんまだつかまってる」
成瀬ちゃんが来てくれるなんて大歓迎だし!
成瀬ちゃんを見送った後、相原君はいそいそと残りを平らげた。
でも、これが相原君のなかなかやってこない春をさらに遠ざけたらしい。
そうと知るのは、少し先だったけど。
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