相原君のアンハッピー・バレンタイン

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「そんなことよりアンタよ。こっそり泣いてる綺麗なお花をちゃんと見つけて、本命チョコ貰うんだよ」 美香先輩はまたいつかの言葉を持ち出して相原君の肩をポンと叩いてから、また餌やりに戻っていった。 「こっそり泣いてるお花……」 相原君に思いを寄せてくれてる女の子がいるってことか? 「どうぞーどうぞー」 突如トランプの札配りのようにシューッと机を滑って来た小さなチョコを慌ててキャッチする。 「ありがとー……」 そんな子、いないと思うけどな。 もはや遠隔操作で配り歩く女の子の背中を見送っていると、相原君のマドンナちゃんの声がした。 「相原君」 「あー成瀬ちゃん!」 少し大きめの袋を抱えて、成瀬ちゃんが手を振りながらやってきた。 「お土産、いろいろあるの」 ガサゴソと袋からまず取り出したのは大袋のお菓子。
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