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「はい、では次」
「はい。僕は" 立花 光毅"と申します。『邪気祓い』を学ぶため、志望しました。よろしくお願いいたします」
うわー、丁寧な挨拶だな。
そう思いながら話す彼を観察する。
綺麗に整えられている短髪の黒髪、背丈は俺と変わらないだろう。つり目気味の三白眼のせいか、眼差しはきつく見えるかもしれない。
なんか、固そうだ。俺と性格が合わないような気がする。
「はい、最後」
「はい。僕は" 成川 晴久 "と申します。実家は島根県の神社です。よろしくお願いいたします」
あれ?聞いたことがある声だ。
そう思いながら振り返ると、本当に知っている人だった。
というか、同じ大学の同期だ。確かゼミも一緒だった。
うわ、今まで全く気付かなかった。
短髪癖毛で、俺よりも少し背が低く眼鏡をかけている。
大学の授業の実習では名前順で2つの班に分けられることが多く、あまり関わりはなかった。
じっと見つめていると、気づいた成川も俺を見てにっと笑う。
ああ、気づかなかったのは俺だけなのか。
「よし、3人の名前はわかったね。今日からよろしく」
瀬田さんの言葉とほぼ同時に、戸からノック音が聞こえた。
「はい、どうぞ」と柴崎さんが返事をすると、ゆっくりと戸が開く。
その顏を認識して、俺は慌てて姿勢を正した。
入ってきたその人こそ、この桃華八幡宮のトップ―――
「自己紹介は終わった?」
――羽賀 知子宮司なのだ。
「お疲れ様です、宮司。今、自己紹介が終わりました。何か一言あればどうぞ」
腰まである長い黒髪。凛とした顔立ちの中の、二重瞼の大きな目が俺達を捉える。
顔だけでなく立ち振る舞いもすらりと綺麗なこの女性は、日本では数が少ない女性宮司なのだ。
「改めまして、こんにちは」
「こんにちは」
「宮司の 羽賀 知子です。仕事内容に関しては、禰宜から聞くと思います。私からは1つだけ……。皆さん、" 一期一会 "を大切にしてくださいね」
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