第1話 初めまして

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" 一期一会 " 一生に一度しかない出逢い。 「私達神主にとって、神社に来てくださる参拝者は同じですが、参拝者にとっては神主はその時貴方だけです。来てくださった方、一人ひとりを導けるように、見本になる言動を日々心がけてくださいね」 「はい」 透き通る綺麗な声は、俺の耳から心へと染み渡るように入った。 「一期一会」よく聞く言葉だが、意味をしっかり理解すればなんて良い言葉だろう。 うんうん、俺の座右の銘にしようかな。 そう一人で勝手に頷いていると、ふと白い何かが俺の前に落ちてきた。 ――くぅん 狐、だろうか? 白い毛並みに、赤の紋様、くりっとした目は小動物を連想させる。 「うわっ?!」 「いや、反応遅いでしょ」 3秒ほど小動物としっかり見つめ合ってから驚いた俺に、祿郷さんは笑う。 その小動物は、再度小さく鳴くと机の上を走り、宮司の元へと戻った。 「……狐、ですか?」 「いいえ、イヌよ。案内役をさせていたと思うけど」 「えっ?!」 さっきのイヌ?! 記憶を辿ってみると、身軽に走りまわり、戸の前ですっと消えたあの動物に似ていた。 悪い感じはしなかったが、"生き物"ではないだろう。 「えーっと、この生き物って…」 「今時の言葉で表現すると、使い魔ってところかしら。まだ説明の途中だったの?」 「邪気祓いに関してはまだしていませんよ。それに、犀葉くんは"知らない側"の人でしょう」 「ああ、そうだったわね」 犀葉君"は"ってことは、あとの2人は知っているのだろうか。 疑問に思い隣を見ると、立花は俺をちらりと見ただけで、成川はうんうんと頷いていた。 俺の頭の上には「?」の疑問符しか出ていない。まったくわからない。 そんな俺に柴崎さんが説明をしてくれた。 「簡単に言うと、この神社の"邪気祓い"は除霊等も兼ねている」 「……除霊って幽霊を祓うってことですか?」 「簡単に言うとそうなる」 うわー、なんかすごい神社に来てしまったみたいだ。 関わるとろくなことがなかったから、今まで見えないふり、聞こえないふりのオール無視を決め込んでいたのに。 だけど、視える俺が選んだってことは、コレも何かの縁なのかもしれない。
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