1157人が本棚に入れています
本棚に追加
/286ページ
「 ――くらい こわいよ 」
少女のか細い声が、静かな闇に響く。
冷たい
寒い
怖い
寂しい
悲しい
負の感情が心を支配する時、自身を包む何かが反応するようだった。
大丈夫だよ
目を閉じてしまおう
耳を塞いでしまおう
―――ボクタチに身体を預けてごらん?
何重にも混ざった変な声だが、優しい口調に安心できた。
そこで、私は足を止める。
このまま目を瞑り、自身を包む何かに「お願い」をしたら、少しの間は落ちつくことができる。
嫌なことも、楽しかったことも、何も考えなくても済む。
「……ねえ、あいたいよ、―――、」
呟いた" その名 "は虚空に消えた
第1話 了
最初のコメントを投稿しよう!