第1話 初めまして

1/8
1156人が本棚に入れています
本棚に追加
/286ページ

第1話 初めまして

「犀葉くん、おめでとう」 皇学院大学 学生課。 その窓口にて、学内でも有名な美人の先生に、笑みと共に茶封筒を渡された。 ダブルの幸せに本当に夢ではないのかと自身の頬を抓る。うん、痛い。夢じゃない。 先生にお礼を言って、学生課を出る。気持ちは完全に有頂天だ。 本当は昼食を食堂で済ませ、図書館で卒論を進めてから帰るつもりでいたのだが、学内掲示板で見つけた自身の名前にその考えは消えていた。 駐輪所まで歩を進ませ、辺りを見回しつつ誰もいないのを確認し、学生課からもらった封筒の封を開けた。 ――― 犀葉 瑛  合格 「うおっしぁあ!」 自身の名前と結果を何度も確認して、俺は恥ずかしげもなく喜びの声を上げた。 大学4年 夏、今日。 大学生の2大難関である、就職試験に無事合格したのだ。
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!