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次の日友花ちゃんと共に走る、あの朝のラッシュだ、しかし、友花ちゃんは走らず歩き出す、何だと、違和感を覚える事も無く
「いつも、朝と帰りだけだね、あんなに遊んだのに」
はっと、目の前に泥んこご飯のおままごとが飛び込む
「あ、そう言えば友花ちゃんの、泥んこ饅頭思い出した」
「え? いつの話よ」
「あの時、本当に押し付けられて、泥まみれになっただろ?」
「あー、あの時」
ようやく友花ちゃんにも、昔のお転婆だった日々が思い出されたようだ
「今思えば、くっそ下らないな、あの時のカッコ良さの基準や、可愛さの基準をかなぐり捨てたいよ」
「うん、そうだね、解った、学校終わったら、校庭の木の下で待ってるから、走ろ」
「あ、ああ……」
しかし、無駄話していた俺達はタイムアウトの先生の後ろ姿が見える、諦め切れずに歩く先生を追い抜き、下駄箱に靴を入れて履き替え一気に走る、まるで急ストップを掛けた自転車の様に、そして、運命の壊れる音が聞こえそうだ
「荒川、ギリギリアウトだぞ、もう一人は別のクラスだぞ!!」
「あっ、すいません」
気恥ずかしいそうに走っていく友花ちゃん、今まで気が付かずに、手を握って居たことに今更気付く、注目を浴びたのは俺一人ではない、友花ちゃんもだったのだ、大爆笑の中、二重のアウトにずっしり重い先生の本が頭に置かれた気がしたが、それは薄っぺらな名簿表だった、耳まで赤くなり苦虫を噛み締めた恥ずかしさで、あの約束以外上の空だった、悪い予感しかしない友花ちゃんとの約束、校庭の木の下に力無く歩んでいく、友花ちゃんが聞き慣れない言葉を発した
「スキだよ、十郎太君」
「俺も友人としてスキだよ、友花ちゃん」
「一言余計だよ、恋人にならない?」
悪い予感は的中した、心がギリギリ、ギリギリする、この一線を超えたら友人に戻れない気がした
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