ローズマリー

1/1
前へ
/50ページ
次へ

ローズマリー

ローズマリーの香りと 夜の始まりが一緒に訪れて 爪先の丸い靴が動き始めた 不思議な重圧は空気の重さ そんな事に思い当たりつつ 時計の数字が揃う時間まで 何をしようかと考えていた だって今日は月食が起こる日 カップラーメンの空き容器に 感覚が侵食される気分になり 自分の独りにツケが回ってきた X脚に悩む話し相手は架空の存在 そんな雰囲気に一つずつ 名前を付ける幸福に酔い 我が身の色を誤魔化した 「隣の芝生は青いけど 私に隣はいないんだ」 小さく呟いて空中にモラルと書く 自分の自分勝手に嫌気が差した 心の過半数を占める気分が 我慢と辛抱を天秤にかけて 今の時間を確認させる 腹に詰め込まれた麺が膨らみ 煌めく照明が痛みを訴える 気持ちとは裏腹に周囲は赤道直下 そのまま伸ばした左手の薬指に 月の指輪を飾ってみる また一つ 新しい後悔が生まれた
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加