パセリ

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パセリ

パセリの香りがする食卓に 来訪したイナゴの名を聞き だんだん近付く孵化の時が キャリーバックに収まった 英数字が並んだコーヒーと 赤い巾着を手に持ったらば 脱力する感覚が体を駆ける 多分カレーが好きなんだろ 一列になっている傷の跡を 手の甲に見つけて撫でると 枯れた声が焦点を失ってく 蹴飛ばしたつもりのない箱 その中から宇宙語が聞こえ 見覚えのない世界が出現し 自分が恥ずかしがり屋だと 再認識をしたまま名を消す もう使わなくなって久しい アカウントがそこにあった クロマニヨンの字を見つけ 鼻をくすぐるハーブの源を バッタに駆逐されたと知る 迷彩色で覆われたこの身を 感覚のない左手で触ったら 寒々しい世界が拡がってく 今は光を求めるタイミング だから誰の名前も呼ばない もう戻らないと目を閉じた 機先は制しているはずだと ただただ言い聞かせていた
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