ナツメグ

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ナツメグ

ナツメグの香りがする ハンバーグを前にして 割りきれない気持ちが 勝手に走り去っていく そして無くした言葉を 一つ一つ復活させてく トリミングされた話が 逃げる事を諦めていた 振り向いた、その瞬間 何かが消えた気がする 蛍光テープの横にある 綾小路きみまろの本を 白内障の瞳で認めたら 心の林に鏡が置かれる 寝つかれない夜が過ぎ 自分の叫びが笑いへと 変わっていると気付き 宙に漂う知らせを捕縛 醜い姿を触感が認識し それでも肉を食ってる ダイエットという名の 冒険には旅立たないと 何となくわかっていた 希望に背を向けた光が 知識の幅を狭めて深化 無意味に特化した場で しゃがみ込んだその後 波打つ体の色んな処を 投影した床から跳ねる 開いた本にある単語を コロナと読み違えたら この空間の奥に巣食う 連中の思惑が渦巻いた 「ここは私の本拠地」 それだけはユズレない
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