ヒヤシンス

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ヒヤシンス

ヒヤシンスの香りが漂う空間に 安い油で揚げた鶏肉が運ばれて 忘れていた歌が口から飛び出す クリスマスに交わした約束すら 悪夢のプロセスに組み込まれて 幼なじみの顔が脳裏に浮かんだ ニュースで見かけた同姓同名は 赤の他人であって欲しいと願う ネガティブな思考が拭えない 次々と消費される事件の数々に 風化される自分の大事件ですら 短い言葉でまとめられて薄まる その向こうを読み取れない頭が 時間すらコントロールしようと 見つけられない星を手で遮った ここはもう廃墟になるのだろう 無邪気な年代が想像で作られた 黒い色した予感に取りつかれて 悪い現実が続くと思い込んでた 静かな慌ただしさに巻き込まれ 古くなった全てと共に残ってた いつか見た映画のワンシーンと 今の自分のイメージが重なった その引き金はヒヤシンスの香り
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