第2章 新チーム始動

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 告白を断る理由トップ3にランクインしてそうな、ありきたりな言葉で稲尾は見事に撃沈した。まぁ当たり前の結末だろう。 「Oh...」と額を抑えてアメリカ仕込みのリアクションを見せる稲尾。こんなところでアメリカに住んでましたアピールしなくていいよ。それにお前、中3まで『my name is』くらいしか英語使えなかっただろうが。  「分かった!急に告白してゴメンね?」と言ってから空席になっている自分の席に座ろうとした稲尾だったが、このまますんなり終わるワケがなく。 「稲尾君。後で職員室に来なさい・・・」 笑顔を引き攣らせて怒っている様子の和田先生に呼び止められたのであった。 *************************************  夕日の赤がグラウンドを照らす放課後。  昨日とは違い周りでは陸上部やサッカー部が練習をしている・・・のだが、どこもまともに練習しておらず、さっきから休憩しかしていない。 そんな中、俺たち野球部は珍しく真面目にシートノック練習をしていた。(何だよノックしかやってねえじゃねぇか)と言われてしまうかもしれないがノックには色んな種類がある。昨日のは選手を一列縦に並ばせて一人ずつノックをする対面ノック。今日のシートノックは選手達それぞれの守備位置につかせて、ノッカーが適宜打球を打ち分ける、より実践的的なノックである。 「あれ?そういえばアイツいないじゃん」  ノッカーを務めていた俺にボールを渡しながら玲央がそう尋ねてきた。アイツというのは稲尾の事だろう。彼女は俺らと違うクラスだから、朝に起きた出来事を知らないのだろうか。俺は「ヘイサード!」と言って彼女から貰ったボールをトスすると、ノックバット(ノック練習用の長めのバット)でボールを打って三塁線にゴロを転がした。それをサードに守っている中村先輩が華麗に捌く。 「あぁアレな。今は生徒指導室で説教されてる」 「はぁ?何で?」 「転校初日で見ず知らずの生徒に告白するとかいうアホしたから」 「あぁ、あれアイツの仕業だったんだ・・・」
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