case2: 山寺琴音

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それなのに、一気にその幸せは壊された。 それは、私がおばあちゃんに家に行く途中でバス停から歩いている時のこと。 私は道端で倒れているおじさんを見つけて駆け寄った。 その人はヒドイ匂いで、汚い格好していて、正直少し怖ったけど おばあちゃんは人は見た目で判断してはいけないって言っていたから、自分が持ってる水をあげたんだ。 そして、そのおじさんはかすれた声でありがとうと言うと水をゴクゴク飲みだした。 私はその日。 おばあちゃんの言うように、人に優しくすることが出来たと満足していた。 おばあちゃん家についてからも、その話をするとすごく褒めてくれて頭を撫でられた。 人に優しくするっていいな。 とても気持ちいいな。 その時まではそう思っていた。
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