case2: 山寺琴音

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良かった。 これでもう、付きまとわれないで済む。 『おばあちゃん、ありがとう』 私が安心して笑顔を向けた次の日。 事件は起こってしまった。 学校でお弁当を食べていると、突然担任の先生に呼ばれ、私の母から学校に連絡があったということを伝えられた。 そして私は意味も分からないまま早退することになり、私を迎えに来た母と一緒にタクシーに乗りこんだ。 『ねぇ、なんで早退?』 私がその理由を聞くと母は深呼吸して小さい声で言った。 『落ち着いて聞いてね。おばあちゃんが事件に巻き込まれたらしいの……今病院に運ばれているけど危ない状態らしい……』 危ない状況? 『ねぇ危ないってどういうこと?』 私はお母さんは揺さぶって問いただすけれど、母は言葉を詰まらすだけだった。 危ないって何?あんなに元気だったじゃん。 事件って、なんの事件?
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