大都会の友達

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すると今度は、おじいさんが佐々木さんのスカートの裾を持ち、捲り上げようとし始めた。 「うわっ、このやろう何をする」 咄嗟にその手を払った。 「きゃあっ」 佐々木さんが私を睨んだ。 「あ、違うの、これは、その…」 「私、あなたに何か悪い事した?」 「いや、ごめん…」 その後、二人黙っていたら、佐々木さんは帰ってしまった。 「本当にワシの事が見えるとは、珍しい人間だて」 故郷を思い出す。田舎には、こんな迷惑な奴らが多く居た。 皆、悪戯好きで自分勝手で、はた迷惑以外何も無いのだ、妖怪なんて。 「なあ、なぜ、この助平じじいのせいだと弁解せんかったのだ」 こいつらは、私が見る事が出来ると分かると、必ずちょっかいを出してくる。 「なあ、なぜ、あの娘は怒って去って行ったのだ」 「うるさいっ」 「はて」 私が怒鳴っても、おじいさんは首を傾げるだけだった。 お陰で怒る気が挫けた。決まってこいつらに悪気は無く、ただ暇なだけなのだ。 「なあ、喧嘩でもしたのか」 「この桜の木に、花が無いから帰ったのよ」 妖怪との関わりは持ちたく無いから、適当にあしらってこの場を早く去るつもりだったが。 「そいつは済まなんだな」 おじいさんの寂しそうな口調よりも、素直に謝られた事に驚いた。妖怪が非を認めるなんて珍しい事だったから。
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