大都会の友達

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首を突っ込むとろくな事がないと分かっているのに、私は訊いてしまった。 「花が無い事とあなた、何の関係があるの」 ふぅと、重い息を一つ吐いてから応えた。 「この木はもう死ぬ、力尽きる寸前なのだ。花も付けずに、果てるところなのだ」 木の根元に鎮座する、そのおじいさんを良く見ると尾が生えていて、桜の木と繋がっていた。 「あなた、精霊ね。この木に宿る、樹木の精霊」 徐におじいさんは口を開いた。 「随分と昔の事だ、ワシがまだ小さな獣だった頃だ。ある時、大きな鳥に襲われて酷い傷を負った、丁度この幹の根元で力尽きたのだが、この木がワシを生かしてくれた。それ以来ワシと桜の木は仲良く暮らした。 永い年月一緒に居た。 山寺が出来て、それが滅んでも。 希少な木として、此処に移されても。 ずっと一緒にいたんだが、それもいよいよ終わろうとしている」 ぼうぼうに伸びた頭髪で目は見えなかったが、おじいさんの口元は笑った様に見えた。 「人間の娘よ、一つ頼みがある。訊いてくれ」 数少ない人間以外のモノと関われる人には、必ずと言っても良い程、頼まれ事をされる。 私に取って、はた迷惑な話だが、人間も好き勝手に神様相手に願い事を言ったりするから、それと同じ様な物かも知れない。 私はそれを訊いてあげる事にした。 「もう一度花を咲かせたい」 おじいさんの願いだった。
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