大都会の友達

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「そう、そんな感じで桜の木に心を委ねよ」 おじいさんの指示通り、幹に掌をあてて目を瞑る。 「これで良いの」 「ああ、これで一週間もすれば花が見られる事だろう」 「おい、私はいつまでこれをやれば良いんだよ」 「フハハ、もう一度、また明日来ておくれ、それで良い。お前のような妖力の高い人間など見た事が無いが、流石に今日は限界だろう、家に帰って休むが良い」 「うん」 手を離すと、ふと力が抜けていくのが分かって、少しふらついた。 おじいさんは桜の木を黙って見上げていた。 私が帰る時も、ずっと見続けていた。
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