3人が本棚に入れています
本棚に追加
「そう、そんな感じで桜の木に心を委ねよ」
おじいさんの指示通り、幹に掌をあてて目を瞑る。
「これで良いの」
「ああ、これで一週間もすれば花が見られる事だろう」
「おい、私はいつまでこれをやれば良いんだよ」
「フハハ、もう一度、また明日来ておくれ、それで良い。お前のような妖力の高い人間など見た事が無いが、流石に今日は限界だろう、家に帰って休むが良い」
「うん」
手を離すと、ふと力が抜けていくのが分かって、少しふらついた。
おじいさんは桜の木を黙って見上げていた。
私が帰る時も、ずっと見続けていた。
最初のコメントを投稿しよう!