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「ねえ、この木が死んだ後、あなたはどうするの」
次の日の早朝から、また私は桜の木に会いに来ていた。
そして、昨日と同じ様に幹に掌をあてる。
「そりゃあ決まっておるわ、ワシとこの木は一蓮托生、一緒に逝くさ」
おじいさんはけろっと言った。
「死ぬって事?」
「永遠に存在する者など居りはしない。誰にも迷惑掛けもしまい」
そう、はぐらかされた。
良い気分はしない。むしろ腹が立つ。
毎度、毎度、彼らの自分勝手な願いに振り回されてしまう。
それを無視出来ない自分にも。
「バカ」
そもそも価値観が違うのだ、彼らと人間とでは。
生きている時間も。
時間の価値も。
「バ、バカ、だと。突然何だ」
「ふんっ、ベーだ」
「ああっ、人間のくせに生意気な」
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