14章 王位継承権

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・ 「賭け、…か」 アレフは何故賭けなんかを言い出したんだろ…… “ザイード様が何らかの行動を起こした場合は私の勝ち” 「………」 “此方へ往復チケットの半券を手渡しで──” 「半券の手渡し……ってことはあたしがまた此処へ来るって前提…になるんだ…」 ここはとても居心地いい… でも…… あたしが帰ってあの人が一体どんな行動を起こすっていうのだろうか── あの人が何かをしたからって、あたしがまた此処へ帰って来なければならないことなど何もない筈なのに── 愛美は短く溜め息を付いて遠くを見つめた。 ◇◇◇ 「お久しゅう御座います陛下──」 「うむ…」 枕元に立ちご機嫌を窺うアレフにイブラヒム国王は応えた。 手を動かすとベットの上部を起こすように使用人に指示をだす。 「起きられても大丈夫でございますかな陛下──」 「ああ、久し振りにお前の顔も見ておこうと思ってな……」 「………」 王はじっとアレフを見つめふと溢した。 「年をとったな…お前も…」 「………先月も確かその台詞を言われましたな……」 「ふ…まだ記憶力に衰えはないか……」 「………」 呆れるアレフに陛下は笑って返していた。
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