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アレフは返事をしながらソファに腰掛ける。
ザイードはぽつりぽつりと口を動かした。
「……会う度に小さくなっていく気がする…」
その言葉にアレフはふっと遠い目で弱く笑みを浮かべた。
アレフも静かに答える。
「それが──…“老い”と言うもので御座います」
「…老い…か…」
ザイードはその言葉を繰り返した。
「王は何か言ったか……」
「ええ…」
「………」
「ザイードを頼むと……」
「………」
アレフは王の言った言葉を思い出しながら無言のザイードに口を開いた。
「もう80を過ぎました…ザイード様は陛下が歳をいってから授かったお子。──…可愛くて仕方ありますまい…」
ザイードはその言葉にふと口を歪めた。
「その可愛い我が子に国を背負えと言う──…本当に可愛いのかは疑問だ」
「仕方ありませんな…」
「………」
「我が子も可愛ければそれと同じ様に国も民も愛しい──」
「………」
「御自分と同じ様にそれを愛しむザイード様に託そうとされているまででございます」
「───」
ザイードは瞬きもせずに真っ直ぐに上を見つめていた。
少し間を置いてザイードは呟く。
「何故、兄ではいかんのだ──」
アレフは小さく溜め息を溢した。
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