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「………サルジュ王子では──欲が強すぎる…」
「………」
「国を思えばこそでも強すぎる欲では崩壊を招いてしまう──…そしてサルジュ王子の周りには善からぬことを企む者が多すぎる……それぞれが己の欲にかられた者達──…サルジュ王子は政事にあまり詳しくはない、仕組みを知らなければ悪意ある者に言いように使われてしまう──」
「………」
「それでは民が泣くはめになってしまう……」
「……ハダバを襲撃した野盗の親玉を追けた」
「………」
無言だったザイードは急に口を開く。
「……その者が宿で密会している相手をラフィークに偵察させた──…」
「………」
「その首謀者の名前をラフィークに聞かされた時に俺は少しばかりショックを受けた」
「………」
「サルジュの脇にいつも付き添うカティーヤの右腕だ」
「キヤーナで御座いましたか……」
「………」
ザイードは横になったまま顔を頷かせた。
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